2008-08-23

LCC-Win32が自由にダウンロードできた頃

私がまだコマンドラインで何かすることさえ思いもよらないプログラミング初心者だった頃、LCC-Win32が手元にある唯一のグラフィカルな統合開発環境だった。
プログラミングに必要なツールが一通り揃っているのはもちろん、C言語チュートリアルやWin32SDKのヘルプ(これらは単独でも役に立つ)、それに、LCC-Win32でビルドできるサンプルソースを公開しているWebサイトもあるので、(ちょっと英語が読めれば)初心者でも手元に何も無い状態から始められるという点で画期的だった。
特にC言語チュートリアルは素晴らしかった。そこには開発者であるJacob Navia氏の意見があり、C言語や"昨日今日の言語"、メモリ管理と自動ガーベジコレクタに関する(今では古いかもしれない)熱い主張を見ることができた。当時の私が難解なWin32向けC言語プログラミングを続けられたのは、このチュートリアルが与えてくれた情熱のお陰なのだと、今でも思っている。
一方で当時ちょっと不安に感じたのは、「LCC-Win32で作ったソフトウェアを売って良いか」について、なぜかライセンス条項に明確な記述がなかったことだった(作ったソフトウェアの"著作権"が作成者にある、という記述はあったはず)。
私が自作したDLLを商用利用も可能な条件でユーザに配布したいと思った時に、どうしてもこの問題が引っ掛かり、あれこれ調べた末、最終的にはMinGWに乗り換えた。
あれから5年以上経った今、LCC-Win32のWebサイトのトップページには「License: 」が加わり、商用利用に関する細かい記述が並ぶ。閲覧者が何かダウンロードしたければ会員登録が必要で、それが無料だとしても、私は何もかも最初から自由にダウンロードできた当時と比べてしまい、どこか違和感を感じる。

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